祈り
2024-03-31
ありがたいごとに自室には太陽光がよく入り、昼間は照明など滅多につけない。
加えて私は太陽が昇ると同時に目が覚め、太陽が沈めば眠りにつく超朝型人間。
故に照明を選ぶにあたって、点灯時は勿論消灯時の佇まいにも拘った。
「イタリア建築・インテリアの父」と称されるGio PontiによるBilia mini。
円錐形の台座に球体が乗った様は、シュルレアリスムを思わせ、光を灯さずとも目を惹く求心力がある。
無駄が一才無いシンプルで無機質なデザイン故、置く場所も選ばない。
点灯すると昼間の無機的な姿から有機的な印象へと一変。
温かみを感じるガラスシェードを透過した柔らかな光は、荒んだ心を浄化してくれる救いに思える。
何時は聖人の様に成れることを祈りながら大切に使い続けていきたい。
Hans J Wegner
2024-01-10
数年前に迎え入れたHans J WegnerのEasy chair GE240。
ふと良い椅子が欲しいと思い立ち、現行品からVINTAGE、骨董まで都内のありとあらゆる家具屋を彷徨い、ありとあらゆる椅子に腰をかけて出逢った一脚。
尻が屍の様である故に長時間の着座が辛く、加えて落ち着きが無い性分故に一箇所に留まっていられない私にとって「そもそも椅子が必要なのか?」という疑問が一瞬頭を過ったが、「良い椅子があったら座りたくなるし、買って良かった」と心の奥底から思えるかもしれないと認知的不協和で自分を説得して購入に至った。(何と戦っているのだろうか。)
迎え入れて数年。結果として「買って良かった」。
傾斜面の浅い座面は頻繁な起居のストレスにならず、スプリング入りのクッションは適度な硬さと柔らかさがあって長時間座っていても尻が悲鳴を上げない。
丸みを帯びたフレームラインもなめらかな質感で温かみがあり、経年変化で深みを帯びたオーク材の雰囲気も素敵なこと。
鶏が先か卵が先か、この椅子を手に入れた事によって自分の生活も少々変化した。
以前よりも読書や映画鑑賞の時間が増え、自宅で過ごす時間が豊かになった様に思う。
老年になったらこの椅子に腰掛けて、葉巻でも吸ってゆったりとした時間を過ごしたい。
別名「シガー」とも呼ばれている椅子だから。