2021年にスタートしたSILVER RAIN。
初めて知ったのは、日本橋で開かれた個展にて。
展示内容としては、普段疎まれる錆に着目し錆染によってシャツに落とし込むことで、それが衣服なのか否かはたまたアートなのか、鑑賞者に訴えかけるといったもの。
御人によっては格好良いという印象を抱いたり、塵であると卑下したりと賛否両論あっただろうが、私は前者でした。
デザイナーは寺内さんという女性。是非検索してみてください。こんなことをやるのだから、さぞかし妖しい雰囲気ムンムンのおじさんデザイナーだと思っていたので心底びっくり。良い意味で裏切られます。
そんなSILVER RAINからウール縮絨のセットアップ。
肩はたっぷりと落ち、ハーフコートの様な着丈の長さ。
縮絨をかけて尚この大きさだから、加工する前はマ○ジェラのOver Sized期の様な大きさだったであろう。
ボタンはスナップ式で大きめのサイズ。これもマ○ジェラのDoll期っぽいなぁと思ったが、単に機能性を追求した結果であり、パクリやオマージュでもない。というか寺内さんは上記のマ○ジェラのコレクションを存じていなかったとのこと。
この深い藍色が冬のピリッとした空気によく合う。寒さを和らげるというより、寒さに寄り添うような色。
ぎゅっと目の詰まった頼もしい縮絨。寒い日にはこいつを羽織る。これだけで暖かい。これだけでいい。
ちなみに、このセットアップはTHE BLUE PERIOD UNIFORMと銘打たれている。
アーティストが活動する際のユニフォームがコンセプトらしいが、皮肉にも組織の歯車として食い扶持を稼ぐ労働者の私にはピッタリな一着である。